日本文化(道徳)

Japanese Culture日本文化(道徳)

一流の日本文化に触れる体験を通して
国際人に必要な母国のアイデンティティを身に付けます

リンデンホールスクール小学部では、「道徳」の時間に日本文化について学びます。
外部より迎えた一流講師により「茶道」「陶芸」「弓道」を習い、そして校内にある水田では「稲作」を体験します。
日本文化を学ぶのには理由があります。グローバル社会において各人は、母国の代表としての意見を発する立場に置かれる機会が多く、「日本ではどうですか?」「日本人としてどう思いますか?」と、常に日本人としての視点や論拠を求められます。そこでは母国の文化に対する理解や造詣が大切です。また、バックボーンの異なる人の多様性を理解、尊重するためには、同様に自国についても理解、尊重することが必要であり、それは大切な教育のひとつであると考えます。
技術を身につけることが目的ではなく、授業を通して、日本人特有のおもてなしの心や感謝の心などの価値観を学び、国際人としてのアイデンティティを身に付けることを大切に考えています。

茶道

Hiroshi Nakasone

仲宗根 宏 先生

武者小路千家

culture_img_1_1
武者小路千家家元准教授。千利休の曾孫、一翁宗守が開いた武者小路千家は、陽明家(近衞家)、讃岐高松藩の茶道指南も務めた茶道流派。

茶道を通して、おもてなしや感謝の心を伝えることを大事にしたいと思います

茶道の授業では、お稽古事として茶道の知識や伝統を教えるのではなく、「おもてなしをする」、「感謝をする」といった「心」を育むことを第一に考えています。茶を点てることは人に楽しんでいただくためのおもてなしであり、おもてなしを受けた方は心よりの感謝をします。その、素直な心を伝えたいのです。
そして、茶会は多くの方々が順番にお茶をいただく場となるため、そこでは順番を守ることや譲り合いの心を学びます。最大で10分は我慢をしてほしいのですが、それが難しい児童には、別の投げかけをすることで気を紛らわせ、徐々に我慢ができるように導く試みをしています。1~2年間茶道を学ぶことで、身体的だけではなく心の成長が見られるのは、教える側にとっての喜びです。たとえば、お茶を点てる前の準備や終わってからの片付けを率先してやるようになってくれたり、自分より学年が下の子が手間取っていると上手にサポートしたりする姿を見ると、児童の成長を感じ、指導した甲斐があったと感じます。
伝統的な作法を知識として学ぶことは大人になってもできますが、精神面の修練や、日本人の根底に流れる「心」の部分を学ぶことは、スポンジのようにいろいろ吸収できる時期にこそやるべきことだと私は思います。

陶芸

Dai Kouzuru

高鶴 大 先生

上野焼(あがのやき) 高鶴窯 窯元

culture_img_1_1
高鶴窯は、400年以上の歴史を持つ上野焼の窯元のひとつ。14歳の時、ハーバード大学で陶芸を教えることとなった父に伴い、渡米。アメリカ・ポートランド美術大学卒業後帰国。京都で陶芸を学んだ後、福岡に戻り、作家活動を続ける。

指先で感じる土の触感や温度、焼き上げた器の質感。繊細な感覚を刺激する愉しみは、大切な情操教育です

陶芸には、繊細な感覚、感受性を育む力があると思います。一つの器を、人が使う時に感じる口当たり、軽さ、重さ、持つ時のフィット感といった、様々な情景を想像しながら作るという一連は、人間にしかできないことで、AIにはできません。また、作る時の、指先で感じる土の触感や温度、焼いた後の器の手触りなど、繊細な感覚を刺激することも情操教育の大事な部分です。児童たちにはこういう体験をたくさん積んでほしいと思います。
また、陶芸には人間力を養う力もあります。不便や失敗があると、人間は工夫するために知恵を絞ります。ここがとても大切です。例えば、茶碗を成形する時に歪んでしまったとして、それをどう修復するのか、もしくはその歪みをどう活かすのか、あるいは色付けでの工夫を考えるなど、多面的にアプローチすることで、結果、他の人には出せない味を生むこともあります。このプロセスで、失敗を成功に変える精神力を身につけることが出来るのです。社会に出ると多くの困難と向き合いますが、大人になっていきなり大きな失敗で挫折するのではなく、子どもの頃に小さな失敗を重ねながら一つずつクリアしていく経験を積めば、諦めない心が育ち、ポジティブに進んで行けると思います。

弓道

Kazutoshi Matsuo

松尾 和俊 先生

culture_img_3_1
全日本弓道連盟名誉会員、弓道錬士五段。35年間、高校で国語の教員・教頭として勤務、元福岡県高等学校体育連盟弓道専門委員長。2017年より本校で指導。

自分と向き合い、「命」のありがたさを感じる。弓道は「素直な心」も育てます

弓道は基礎体力の向上だけではなく、高い精神性を身につけていくことができます。
弓道には「正射必中(せいしゃひっちゅう)」という言葉があります。これは、正しく射れば必ず当たるという意味で、「的に当てることではなく、正しく射ることに集中する、そうすることで必ず結果が付いてくる」という考え方です。勉強においてもこれからの社会に出たときも、自分自身を過信せず、何事にも全力で集中していく力は必ず将来役に立つと考えております。
また、「命を慈しむ」という点でも、弓道には重要な役割があります。私達は「ありがとうございます」や「いただきます」を、つい形式的に口にすることがありますが、命を「いただく」という意味を、実感をもって伝えると子どもたちは深く理解できます。たとえば、弓を持つ手につける革製の手袋「弓懸(ゆがけ)」は鹿の革で製作されており、矢に使われている羽は猛禽類や七面鳥の羽です。当たり前のことですが、動物自ら「どうぞ使ってください」と素材を提供しているものではなく、人間が「命」をいただいて道具にしています。それを十分に理解することで、道具を粗末に扱うことなく、命に対する感謝の心が自然に芽生えます。その本来あるべき気持ちを大切に教えていければと思っております。

稲作

育てたお⽶が、陶芸、茶道、しめ縄づくりへとつながる。物を⼤切にする⼼、自然への感謝を学びます

キャンパス内の田んぼでは、田植えをして稲を育て、米を収穫する体験学習をします。米の収穫までではなく、その先にある事がらも教えます。刈り取った稲藁は焼いて灰にし、釉薬を作り、「陶芸」の授業ではその釉薬を使って茶碗を焼きます。そして、「茶道」の授業では、その自作の茶碗でお茶を点てておもてなしをします。また、5、6年生は刈り取った稲藁で、お正月に飾る「しめ縄」づくりも体験します。しめ縄づくりには、外部講師を招き、お正月についてや、しめ縄づくりをする理由、しめ縄づくりの起源など、日本の文化について学ぶ機会にもなっています。田んぼで育てる米は餅米で、収穫後、1月には餅つき大会をして地域の施設へお餅をお配りしています。こうした一連の流れを通して、日本古来の循環型の生活と環境を理解し、稲を余すところなく使って物を大切にするという日本の文化も学びます。また、稲作が日本の自然とどう関わり、文化として発展してきたのかを、自然豊かな環境の中で実体験のもと学び、自然への感謝の心を深めることもできます。

小学部

Elementary School

Loading